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抄録のご紹介ページ(一般演題)

一般演題/ポスター会場


【1-1】発達障害診療に有用であった学習と遊びの活動(こども無料塾)
藤井 厚一郎1、佐藤 結衣子1、足立 元1
1. 耳原総合病院

 発達障害の診療では、不登校や反抗的言動といった二次障害が主訴となることが多く、対応が求められ る。児への不適切な関わりや適切な支援の不足が二次障害の原因とされているが、それらへの介入を地域の医 療機関で小児科医が行う例は非常に少ない。私たちは2022年から、発達障害で通院中の児を対象に、小児科 医と一緒に学習や遊びを行う「こども無料塾」という活動を行ってきた。必要に応じて、小児科医と児が1対 1で行う場合と初期研修医や学生ボランティアの協力を得て集団で行う場合がある。この活動に参加した児に ついて、診療録とアンケートを用いてデータを収集した。データをもとに、二次障害という観点から児と保護 者にどのような変化があったのか紹介し、その要因について考察する。あわせて、この活動が小児科医の診療 に与えた影響についても考察する。また、この活動の実現に際して直面した課題を整理し、その対応策を共有 する。

【1-2】絵カードを用いた発達障害の児への服薬支援
*松本 康弘1、木下 博子2、金原 洋治3
1. ワタナベ薬局上宮永店、2. ほじん薬局片島店、3. かねはら小児科

 発達障害、特に自閉症スペクトラムの児は視覚優位のため、話し言葉という情報を取り込むことが苦手 で、表情やニュアンスの読み取りに課題がある。話し言葉よりも文字や写真などの視覚的な情報の方が取り込 みやすい傾向にあるため、自閉症の児に指導する場合は絵カードや写真を用いて「構造化」することで何をす るかを分かりやすくすることができる。 このことを踏まえて、第29回日本外来小児科学会年次集会のワーク ショップ(WS)で、服薬支援のための絵カードを作成した。第32回日本外来小児科学会年次集会WSでは作成 した絵カードを用いて医療現場で発達障害の児を含めた児の服薬支援を行い、有用性を検証した。今回の発表 ではWSで作成した絵カードを紹介するとともに、WSで提示された症例を報告する。

【1-6】オンライン医療相談から自治体に連携した47ケースの検討
*白井 沙良子1、橋本 直也1、田中 俊之1
1. 株式会社 Kids Public

 【目的】「オンライン医療相談から要支援家庭を自治体に連携したケース」を、後方視的に検討する。  【方法】2019年11月1日~2023年4月1日に、チャットなどで小児科医・産婦人科医・助産師が相談に応じ る株式会社Kids Publicのオンライン医療相談「産婦人科・小児科オンライン」に寄せられた相談を解析対象と した。自治体への連携は、児童虐待の防止等に関する法律などをもとに、複数の医療者で検討の上、実施し た。  【結果】自治体へ連携したのは、計33,374名中、47名(妊婦は妊娠5週~30週、子どもは生後 10日~3歳)。連携理由の最多は保護者のメンタルヘルス不調であった。  【考察】オンライン医療相談からの連携があるまで、自治体側で把握されていなかったケースもみられた。  【結語】オンライン医療相談は、要支援家庭を、自治体での支援に繋げられる一つの重要なツールとなりう る可能性がある。

【2-1】地域での活動を振り返って~次世代へのバトンタッチ
*倉信 均1、倉信 均1
1. 梶原診療所

 1. 今までの地域における活動 1)「子育てが不安・病気について知りたい」という声をもとに、約40年間 「子育て教室」を開いてきました。受講生は10~15人で、年に7回の種々の職種の方々による講義を行ってき ました。450名以上の卒業生が生まれ、その約1割が地域で活動しています。 2)子どもの貧困層が増大してい く中で、ご飯を当たり前に食べられない子ども達が増えていました。この存在を知った後より「子ども食 堂」立ち上げました。 2. いかに次世代にバトンタッチしていくか 1)梶原診療所お地域活動は「子育て教 室」が中心です。この活動を継続することにより、多くの方々が子どもの健康について学び、卒業後地域に教 室を広めてくれました。また、事務局を担ってくれたスタッフ、地域の方々は、診察だけでなく、予防活動の 必要性を感じ積極的に参加してきたと思います。 2)2016年に「子ども食堂」を立ちあげました。活動をして いくうちに、地域ボランティアの参加が増え、学校、行政との関係も密になってきました。 一診療所ではな く、地域、行政も含めた地域活動の継続が必要です。

【2-2】病児保育事業の新型コロナウイルス流行とICT導入の影響分析
*園田 正樹1,2、森 浩輝3,2、吉岡 夏実4,2
1. 東京大学 産婦人科学教室、2. 株式会社グッドバトン、3. むさこのもりクリニック小児科・内科、4. 弘前大学医学部

 新型コロナウイルスの流行と共に病児保育室の利用率は減少した。この研究では、流行前後の利用率と ICT導入の効果を分析。
 市区町村、病児保育施設から2017〜2022年度のデータを用い、利用率を算出。
 病児保育支援システム「あずかるこちゃん」導入前後の利用率を比較した結果、利用率は導入前の28.9%か ら導入後の37.2%に上昇。しかし、抄録提出時点では解析施設数が少なく、有意差は確認できなかった。
 利用率上昇の要因は、ICT導入以外にも新型コロナウイルスの影響が緩和し、平時通りに利用者が戻ってき た影響があると考えられる。また病児保育事業の特性上、感染症の流行に伴う利用人数の増減は考慮する必要 がある。
 こども家庭庁(旧:厚生労働省)のICT導入補助金や「当日キャンセル対応加算」制度は、病児保育のICT導 入を推進している。

【2-3】新型コロナウイルス流行後の病児保育施設への利用相談についての検討
*馬場 一徳1、馬場 由樹恵1、浅沼 夏樹1、大野 初恵1、入倉 千代子1、山舘 有子1
1. ばば子どもクリニック 病児保育施設あおりんご

 【目的と方法】新型コロナウイルス(COVID-19)の流行後、流行前であれば幼稚園や保育園への登園がで きた状態でも登園を断られたり、児童の家族の利用について当施設に相談される例が増加したので、その内容 について検討した。 【結果】COVID-19流行後当施設の利用者数は減少したが、相談例は増加した。流行初期 は発熱は無いが感冒症状があるために登園を断られた例が多く、2022年度以降は解熱後も症状が消失するま で登園を断られたり、発熱した児の家族が無症状にもかかわらず登園を断られる例が増加した。 【考察】集団 生活を送る幼稚園や保育園の過度な対応により、登園可能にもかかわらず登園ができないことで児童や家族の 負担が大きくなると考えられる。医療側からの啓発も進めていく必要があると同時に、今後未知の新興感染症 が発生した際にも、今回の経験を活かして適切な対応ができるように準備する必要があると考えた。

【2-4】補助金に頼りすぎない病児保育室運営への挑戦~自主運営型病児保育室開 設1年半の実践報告~
*吉岡 淑隆1、吉岡 こず枝1、山﨑 明佳2、大塚 奈緒美2
1. 医療法人社団紡 つむぎこどもクリニック、2. みんなでつくる病児保育室つむぎのおうち

 【はじめに】病児保育室運営は約6割が赤字という現状において、補助金に頼りすぎない運営方法を模索す る必要性を感じていた。2021年10月、自治体からの委託を受けられず自主運営で開室し、補助金以外の運営 に取り組んできた実践の報告をする。 【実践報告】賛助会員制を導入し、2023年3月末時点で賛助会員171名 となった。計3回のクラウドファンディングで延べ461名の支援者から8,688,000円の支援があった。備品類は webと直接の持ち込みによる寄付で補充ができた。2022年度の延べ利用者数は1242名、1日利用者数は平均 5.4名だった。 【考察】クラウドファンディングや情報発信などにより、稼働率を上げることに繋がった可能 性がある。稼働率が上がると利用料からの収入が増え、委託施設であれば出来高分の補助金が増えることが予 想される。 【結語】情報発信や地域が参加しやすいツールを作成し、寄付や稼働率の上昇に繋げることで、病 児保育室の運営が少しでも改善することを期待している。

【2-6】子どもの権利条約にある権利に関する子どもと共に行う研究 COVID-19パンデミック下の国際比較
*武内 一1,3、佐藤 洋一2、Baroudi Mazen3、千 恵蘭4、Malale Tungu5、朴 光駿1、田中 智子1、長瀬 正子1、小林 美津江1
1. 佛教大学社会福祉学部、2. 和歌山生協病院、3. ウメオ大学疫学とグローバルヘルス学科、4. ウィズコミュン協同 組合、5. ムヒンビリ健康科学大学開発研究科

 はじめに 新型コロナウイルス感染症によって、2020年3-5月の突然の学校閉鎖、その後の分散登校などで子 どもたちの日常は大きく制約を受けた。目的 子どもの権利条約(CRC)第12条に基づき、コロナ禍にある子ども たちが、権利条約の各条文に関する対話を通じて社会や政治への意見を発信する。方法 グローバル子どもの権 利対話は、10歳から17歳の子どもたちによって実施され、1チームの人数は5-6人である。一つのグループで CRCの二つの条文の権利対話に取り組み、政策提案を発表する。結果 日本、韓国、スウェーデン、タンザニア でGCRDが行われた。日本国内で行われた第2条誰も差別されない権利の話し合いでは、4つの政策が提案さ れ、その一つが性別をなくすであった。結論 子どもたちは、自分たちの言葉で自らの権利を前に進める政策提 言をする力がある。CRC第12条の権利を前に進めるためにも、子どもたち自身が子どもに関わる政策決定に関 与できる必要があ

【3-1】子供たちの眼が危ない!近視は5年前に比べ増加し低年齢化してい る。SVSによる疫学調査。
*野末 富男1
1. のずえ小児科

 近視は世界中で増加中で我が国では失明原因第4位であるが、疫学調査が不足している。屋外活動は近視の 進行を抑制する1。近年治療でレッドライト療法が注目されている2。屈折率の5年間の変化は8歳が最大で、女 子の方が男子より早く、重い近視となる3。低年齢で発症するほど重症化する。小学校1年~3年までが環境の 影響を特に受けやすい4。演者は外来で小学生を無償でSVSで検査し、近視の有無、重症度を調べた。また20 18年ある小学校で全生徒に屈折検査をしたのでその結果と比較した。  結論:近視の頻度は過去5年で増加し、ピークが5年生から4年生へと低年齢化した。今のままでは強度近視 や失明が増える、危機的状況である。小学校で屋外活動を毎日2時間以上続けるよう文科省に強く働きかける ことが急務である1。  1.Ophthalmology 2020;127:1462-1469  2. Ophthalmology 2022;129(5):509-519.  3.https://www.nature.com/articles/s41598-022-06898-x  4.JAMA Ophthalmol. 2023;141(4):333-340.

【3-2】中野区立小学校での運動指導の報告
千葉 智子1、*井浦 大知1
1. 上高田ちば整形外科・小児科

 近年、子どもを取り巻く環境の変化によって起こっていると言われる「子どもの体力低下」が問題となって いる。当院でも、子どもの姿勢や歩き方が気になる、転びやすい、首や腰が痛い等の相談件数が増えている。 中野区立小学校の校医をしている当院医師からも全校検診、運動器検診で姿勢やバランスが悪い子どもが多い と話があり、小学校の協力を得て、5年生の体育の授業時間を2時間使い、「運動指導」として体軸体操を行う 機会を得た。 今回行った「体軸体操」とは、身体全体のバランスを整え、子供の運動神経の発達の土台となる 正しい身体の使い方を身につけていける、予防医学に基づいて構築された全17項目の体操プログラムであ る。5年生100名を対象に、体操指導を行い、その前後で「長座体前屈」「反復横跳び」(東京都の体力テスト 項目)の項目についてどのような変化があったか、体軸体操を行った子供たち感想と合わせて報告する。

【4-1】こどもどこスタッフの進路~次世代のこどもどこへ~
*清水 翔1,9、荒川 明里2,10、富樫 華子3,9、河野 裕佳4,9、阿部 遥5,9、島田 翔6,10、張 慶哲7,10、岡本 茂 8,10
1. 旭川医科大学医学部医学科、2. 中川の郷療育センター 小児科、3. 群馬大学医学部医学科、4. 鹿児島大学医学部医学 科、5. 滋賀医科大学医学部医学科、6. 久留米大学病院 小児科、7. 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小 児感染症内科、8. 洛和会音羽病院 小児科、9. 日本外来小児科学会 医学生・研修医ネットワーク「こどもどこ」、10. 日本外来小児科学会 医学生・若手医師支援委員会

 【はじめに】医学生・研修医ネットワーク「こどもどこ」は、将来小児医療に携わりたい医学生を中心 に、第15回日本外来小児科学会年次集会(2005年)で結成、2006年5月に日本外来小児科学会教育検討委員会 所属の団体として正式に承認された。2023年5月現在、北海道から鹿児島までの医学生13名で活動してい る。年次集会でのこどもどこセミナーを含め年数回の勉強会を開催し、小児医療に関する学びを深めてい る。発足から18年が経過した現在も、学生と小児医療を結ぶ架け橋である。一方、当団体に所属していた学生 がどのような進路を歩み、過去の活動が医師人生にどのような影響を与えたのかが調査されることはな かった。【目的】かつて当団体に所属していた医師の進路や当時の活動内容を調査し、学生団体としての「こ どもどこ」の意義を明らかにする。【方法】「こどもどこ」卒業生名簿を基にアンケート調査を行う。【結 果・考察】集計中であり演題発表内で報告する。

【4-2】外的要因による事象を主訴とする電話相談 ~令和3年度 大阪府#8000の報告~
*福井 聖子1、*山下 治子、*坂井 利衣、*阿部 榮子、*廣岡 由紀子
1. NPO法人小児救急医療サポートネットワーク

 【目的】 大阪府#8000は19時から翌朝8時まで電話相談を行っているが、発熱など内的要因に加えて、外傷 などの相談も少なくない。大阪府#8000における外的要因による事象を主訴とする相談について報告する  【方法】 大阪府#8000の受付票をもとに、令和3年度1年間の「頭部打撲」、「外傷」、「熱傷」、「誤 飲」の相談と、「手足の痛み」、「その他」のうち外的要因に関する相談を抽出した。  【結果】 総相談件数は61,365件で、うち外因性の相談は13,477件と22%を占めた。対応は助言のみ 35.7%、受診を勧めたのは28.0%と、相談全体の対応各31.9%、23.5%より多かった。その他詳細な結果につ いても報告する。 【考察】 小児では夜間でも外的要因による事象は多いことが示された。助言のみで済む場 合とすぐ受診を勧める場合が多く、突発的に起きた事象に対し保護者の不安が強いことを反映したと考えられ た。

【4-3】退院後の新生児に対する産婦人科医の対応に関するアンケート
*福井 聖子1、*阿部 榮子1
1. NPO法人小児救急医療サポートネットワーク

 目的:大阪府小児救急電話相談(#8000)では0歳児の相談が多く、新生児も年々増加し、近年生後1週目が 多い。大半は育児相談の類だが、不安の強い保護者や疾患の可能性を否定できないとき、感染症の多い小児一 次救急医療機関紹介に躊躇することがある。新生児医療のネットワークは正常分娩で退院した新生児は対象外 であり、出産施設と小児科医の連携が重要と考えられ、現状把握のため産婦人科医対象にアンケート調査を行 なった。 方法:2023年3月、大阪府内分娩施設産婦人科医123名に配布し56の回答を得た。 結果:自院退院 後の新生児への夜間対応として44名(78.6%)が電話相談に応じていたが、公的な育児相談電話への希望は 8割近くあった。診療時間外に新生児に病気の疑いがある場合、「診察や併設の小児科医が対 応」32(57.1%)、「小児科医を受診するように伝えるが、紹介はしていない」30(53.6%)で、府内全域では 小児科医との連携は十分ではなかった。

【4-5】モビコール®の溶解飲料の実態調査
*牟田 広実1、井上 佳也2、友政 剛3
1. いいづかこども診療所、2. 井上こどもクリニック、3. パルこどもクリニック

 【目的】慢性便秘症治療薬であるモビコール®内服歴のある患者に対し、溶解飲料の実態調査を行い、服薬 指導の参考とすること。  【方法】研究デザインは横断研究。対象は、慢性便秘症のためモビコール®を現在内服または内服の既往が ある児。質問紙を用いて溶解飲料について尋ね、また診療録から内服状況や便通コントロール状態を調査し た。なお、本研究は日本外来小児科学会倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2022-6)。  【結果】計182人(男:女 68:114)[現在も内服 171人(94%)]より回答を得た。年齢は5.3±2.4歳、内服量は 66±29ml/日、内服歴は1.4±2.4年であった。普段最も溶解している飲料は、リンゴジュース(29%)、乳酸菌飲 料(25%)、水(12%)の順であった。溶解歴がある中で内服できなかった割合が高い飲料は、麦茶(73%)、水 (56%)、牛乳(42%)の順であった。溶解歴がない中で試してみたいと考えた割合が高い飲料は、オレンジ ジュース(42%)、ヨーグルト飲料(39%)、スープ(39%)の順であった。  【結語】これらの情報を提供することで、内服アドヒアランス向上が期待できる。

【5-5】ワクチン出荷制限によるワクチン接種率に関する評価
*水野 泰昭1、石倉 健司2、櫻井 司3、大﨑 侑佳1、進藤 淳也1、西田 光宏1、上牧 務1
1. 静岡市立清水病院小児科、2. 北里大学医学部小児科学、3. 静岡市立清水病院

 ワクチンの普及は、ワクチン接種率に反映されると考えられ、対象疾患の発症率を軽減させる。ワクチン接 種率はワクチン供給不足の影響を受けると考えられるが、本邦での実態は不明である。本邦におい て、2021年4 月から10月において、おたふくかぜワクチンが製造過程の不具合により出荷制限であり、ワク チン供給不足に繋がった。また同様に、日本脳炎ワクチンは2021年1月から12月まで出荷制限された。不測の 事態により再度ワクチン供給不足に陥った場合、ワクチン接種率の変化を事前に把握することが望まれる。ワ クチン出荷制限によって単施設のおたふくかぜワクチン、日本脳炎ワクチンの接種率がどのように変化したの か、その影響について検討した。

【5-6】2022-23年度の経鼻生インフルエンザワクチン「フルミスト」の有効性 は不活化ワクチンと同等であった
*佐野 正1
1. キッズクリニックさの

 【目的】経鼻生インフルエンザ生ワクチン(「LAIV」と略)は、来年度より供給が可能となるが、今まで個 人輸入に頼ってきた。当院は2015年度よりLAIVの効果を報告してきたが、本年の結果を中心に過去データも 併せて報告する。  【方法】当院にて2-20歳児を対象にLAIV1回接種した全例について、インフルエンザの罹患状況を確認した (コホート調査)。対照には同年齢の不活化ワクチン(「IIV」と略)接種児(基本2回接種)と未接種児を用い た。罹患児は迅速検査陽性例のみとした。  【結果】2022-23年の検出株は全てA型で、LAIV1回後の罹患率は 6.3%(25/398)と、IIV接種後の罹患率 6.4%(32/502)と同等であった。一方、未接種群の罹患率は11.4%(32/280)で、ワクチン有効率はLAIV群 45.0%、IIV群44.2%と算出された。2群間に差はなかった。年齢別検討でも、年少児群と年長児群で差は認め なかった。

【5-7】水痘ワクチン接種スケジュールの再検討に向けて
*伊藤 舞美1、橋本 政樹1
1. はしもと小児科

 水痘ワクチンは、2014年10月にそれまでの任意1回接種から、定期2回接種となった。その後、水痘患者数 は減少に転じたが、毎年一定数は確認できた。そこで、当院での水痘患者数とその年齢を診療録より調査集計 した。また、2022年に関しては、より詳細に、診断方法、ワクチン接種歴、重症度スコア、推測される感染 経路の項目も加えた。その結果、2014年には、平均年齢3.7歳(中央値4歳)だったのが、2021年には、平均 年齢7.2歳(中央値6歳)と、罹患年齢が上がっていた。加えて、水痘患者の多くが、水痘ワクチン接種歴があ り、就学前の子どもの罹患数が増えていることが分かった。現在の本邦での水痘ワクチン接種スケジュール は、2回目の接種が1回目から6か月後となっている。海外での多くの国と地域が行っているように、2回目の 接種を就学前と変更する時期に来ていると考える。本データが、スケジュール再考の一助となれば幸いである。

【6-1】小児アレルギー外来における皮膚テスト (skin prick testing) の活用 第二 報
*高尾 亜衣1、*中村 順子1、*舟木 里佳1、*徳田 玲子1
1. 徳田ファミリークリニック 小児・アレルギー科

 【目的】 小児アレルギー外来における皮膚テスト (SPT) の活用を紹介  【方法】 2022年の一年間に実施したSPT320 例を生活管理指導表 (アレルギー 疾患用) 提出期 (1~3月) と、 それ以外の平常期(4~12月) を比較検討した。  【結果】 提出期 170例の平均年齢は5歳1ヶ月であり、 平常期 150 例の3歳 0 ヶ月を大きく上回った。 提出 期では寛解出来ていない小中学生の受診が多く、 平常期では初診の乳児が30%近くと目立った。 提出期は鶏 卵抗原陽性率 45.5%、 乳抗原陽性率 22.8%、 小麦抗原陽性率 30.0%であったが、 平常期でも概ね同じ 陽性 率であった。【考察】 SPT は簡便であり、 全年齢に適している。 アレルギー疑いの初診乳幼 児の現状把握、 年長児の除去解除の判断、 特殊な抗原などでも施行している。 不必要な採血を減らす目的としても、即時に 判定できその場で結果を見ながら 診断できるSPT は有効的に活用出来ている。

【6-2】ステロイドを使わない乳児湿疹・アトピー治療 ~モクタールという古い薬を使ってみませんか?~
*浅田 和豊1
1. 医療法人四摂法 あさだ医院

 昔は日本でも、湿疹や皮膚炎などにタール剤軟膏が使用されていた。タール剤は独特の臭いがする、衣服や 布団につくと色が落ちないなどの理由で、現在はほとんど使用されていない。名古屋市にある当院で は、2019年末からモクタールを使用しており、その使用経験を報告する。調査期間は2020年1月から2023年 4月。対象者は、乳児湿疹やアトピーのステロイド治療に疑問をもつご家族の患者さん158名(男性72名、女 性86名)で、年齢は0~52歳(中央値4.0歳)、住所は愛知県内144名(名古屋市内75名、市外69名)、県外 14名。治療効果の判定は、ご家族や患者さんの申告と、診察医の視診でおこなった。結果は、改善79名、や や改善15名、無効5名、不明(1回のみの受診のため)59名であった。モクタールは乳児湿疹や小児のアト ピーに一定の効果を認めた。当院の受診患者は年々、増加している。モクタールを処方している医療機関は全 国でもごくわずかであるため、もう少し増えてくれるとよい。

【6-4】当院でのスギ舌下免疫療法の検討
*伊藤 孝子1、鈴木 俊輔1、近藤 真弓1、橋本 政樹1
1. 医療法人社団まなと会 はしもと小児科

 当院では、2015年10月から舌下免疫療法を開始し、現在までにスギ423例、ダニ272例行っている。今 回、スギ舌下免疫療法を行った症例にアンケートを行い、検討したので報告する。  対象は、5歳から14歳(中央値:8歳9か月)までの127例(男児78例 女児49例)。治療期間は9か月から 5年(平均1年11か月)。  服薬状況は、90%以上が「毎日できた」または「週1回忘れた」であった。治療効果は、鼻汁・鼻閉が90% 以上、目のかゆみは65%の症例で改善した。治療による生活の変化は「薬の使用量が減った」「入眠できるよ うになった」「風邪をひきにくくなった」などQOLの改善を認めた。副反応は、口腔内の症状が多かった が、半数以上に症状は出現しなかった。治療に伴う負担は、「毎日の内服」「通院」「治療後の生活制限」な どが多かったが、治療前にしっかりと説明することで、治療の継続が可能となっている。また、効果を実感で きると、治療の継続につながるため、症状が良くなっていることを共感し、励ましていくことも大切だと考え た。

【6-5】母乳栄養児のビタミンD欠乏と日光浴
*鶴田 恵子1、棚橋 順子1、村瀬 貴代子1、谷 美樹1、土屋 千枝1、川井 進1
1. 川井小児科クリニック

 目的  ビタミンD(VD)は、カルシウムの吸収を助ける骨の健康に欠かせない栄養素である。日光を浴びることで VDは体内で作られるが近年は日光を避ける方が増えている。  母乳栄養児は母乳中のVD含有量がミルクに比べ少ないため多くはVDが欠乏する。母乳栄養児のVDの測定 とともに保護者の日光浴に対する考えについて検討した。  方法  乳児240名のVD25OHDを測定しVD不足と診断した乳児にVDサプリメント投与、補完食指導と日光浴指導 し4週後にVD25OHD値を再検査した。  結果  母乳栄養児240名中VD正常は35%、欠乏65%。日光浴は必要と思うかに対して95%が必要と回答。しない 方が良いは2名、必要でないが9名あった。必要と思う理由で、骨の成長(くる病予防)と回答したのは 40%。日照時間の短い冬季に来院した児の25OHD値は低い傾向にあった。4週後、サプリメント服用した乳児 の93%は正常、サプリメント服用していない乳児でも日光浴と補完食で53%が正常となった。  結語  母乳栄養児には補完食指導とともに、日光浴指導が必要であると考えられた。

【6-7】選択性緘黙を抱える児に対するプレイセラピーの事例
*芦谷 将徳1,2、*大屋 和之2
1. 福岡大学、2. おおやこどもクリニック

 【目的】不安症に位置づけられる選択性緘黙の主な治療法として、プレイセラピー、刺激フェイディン グ、エクスポージャー等が挙げられる。日本において、プレイセラピーが数多く行われているが(飯村 ら、2023)、プレイセラピー中の遊具とその臨床的意義については、検討が少ない。そこで、小児科診療所 において、選択性緘黙を抱える児に対して、心理職がプレイセラピーを行った事例の中で、遊具を介した遊び がいかにして発話によるコミュニケーションに繋がったのかを検討することを目的とする。【事例】年中、女 児。特定の状況で発声できないことを主訴に受診。家族以外の人とのコミュニケーションの場づくりを目的と してプレイセラピーを導入した。【考察】発話による自己表現に対する不安が高まりやすい選択性緘黙児に とって、発話の以外の表現方法が保証される場や遊具を提供することで、結果的に発話への不安の高まりが低 減すると考えられる。

【7-1】キャップスクリニックの取り組み ー患者の受診時の困りごとに対するSNS配信の役割についてー
*小笠原 千尋1、*近藤 菜津美1、*太田 百香1、*大森 有紗1、*塚越 隆司1、*白岡 亮平1
1. 医療法人ナイズ

 キャップスグループでは、一都三県にある各クリニックごとにLINEを中心としたSNS配信を行っている。本 研究では、患者が求める情報の把握、適切な配信方法・配信時間を明らかにすることを目的とし患者アン ケートをもとに分析を行った。分析には当クリニックのLINE登録者を対象に実施したアンケート2,043件のう ち、23項目1,708件の回答を使用した。分析の結果、子供に関する不安について選択式で回答を得た項目につ いて、感染症の流行状況や受診判断の割合が多く、子供の年齢によってその割合が変化することが明らかと なった。一方で、グループ内のクリニック間でその割合に変化はみられなかった。また、保護者自身の空き時 間として深夜や週末が多いことが明らかとなった。以上の結果より、SNS配信においては地域差よりも子供の 年齢を考慮した情報提供の必要があること、配信タイミングとして夕方以降または週末の配信が適切であるこ とが示唆された。

【7-2】キャップスクリニックの取り組み ー患者が抱える受診時の困りごとについてー
*太田 百香1、*近藤 菜津美1、*小笠原 千尋1、*大森 有紗1、*塚越 隆司1、*白岡 亮平1
1. 医療法人社団ナイズ

 本研究では、患者が受診時に抱える困り事について、全体像を把握し解決策を見つけることで、患者に寄り 添った医療の提供へ繋げることを目指し、アンケート調査をもとに患者目線での小児科クリニックの課題につ いて分析した。アンケートは当クリニックのLINE登録者を対象に得た2,043件の回答のうち、23項目1,708件 を使用した。その結果、待ち時間に小児科クリニックの課題を感じる患者は多く、その対応策に待ち時間や進 み具合の表示を求める声が多かった。また、患者目線の待ち時間発生要因は、子供の年齢によって割合に変化 がみられた。さらに、体感待ち時間が常時長いと感じる割合の高いクリニックほど推奨度が減少しており、か かりつけ登録の有無でその割合に変化がみられた。以上の結果から患者が課題に感じる待ち時間への対応とし て、待ち時間の表示にニーズがあり、患者パターンに合わせた待ち時間対策を行なっていくことが重要である。

【7-3】こどもが喜ぶ外来の工夫
*高柳 直己1
1. たかやなぎ小児科

 小児科クリニックを開業して27年。学問的な話ではありませんが、子供が笑顔になる工夫を報告します。 ・玄関を入ると熱帯魚と金魚の水槽と「クラゲの水槽」。 ・天井近く、フクロウ、シマエナガのぬいぐるみな ど ・おもちゃ屋に売っていないような「オモチャ」 ・カウンターの下には「お話迷路」のポスター。 ・サン ダーバードの基地 ゴミ箱・点滴室の壁には、自慢の「Atmorph]できれいな景色の動画。 ・外は冬には建物を LEDで電飾。 ・診察ベッドは空飛ぶじゅうたんの遊園地。 ・診察のアイデア、一番の自慢は「ものまねきゅう ちゃん」による、口のなかの診察。 ・診察の合間の手品。アンパンマンの変身、消失。ジャンボ錠剤、スポン ジカプセルの出現。 ダイソーボールの色変化、スモールライトのどら焼き変化。 ・ラッキーくん、さるのパ ペットを使った演技、・ニコニコマスクなど  以上 の画像を供覧します。

【7-5】頭の形について相談時、どうしていますか? ~生後4か月までの保護者へ のアンケートから見えてくるもの~
*飯泉 哲哉1
1. いいずみファミリークリニック

 二か月からのワクチン接種や4か月健診で「頭の形」について相談されることがあります。その頻度が、最 近増えていると思いませんか? 私自身は、自分自身の経験からこれまで「自然経過観察し、成長を待ちま しょう」と説明してきました。 そんな中、近年ポツリポツリとヘルメット治療をする子を見かけるようになり ました。このままではいけないと思い、「小児の頭蓋健診・治療ハンドブック」を開いてみました。位置的頭蓋変形と呼ばれる私たちが日ごろ目にしてきた頭蓋変形はリスク因子があり、早期の予防的介入が必要である ことが見えてきました。これまでの診療や説明に反省すべき点があったかもしれません。 まずは4か月までの 保護者に対して頭の形についてアンケートを実施し、保護者がどの程度、頭蓋変形に関心をもっているのかを 調査しました。当日はその報告と早期の予防介入としてクリニックでの取り組みについて紹介したいと思いま す。

【8-1】初期臨床研修制度における一般外来診療研修の指導方法の探索的調査
*川畑 秀伸1、村上 学2
1. 帯広畜産大学 保健管理センター、2. 北海道大学 医学研究院 医学教育・国際交流推進センター

 目的 医師臨床研修制度において、2020年より導入された「一般外来診療研修」に関する指導方法、課題 点、指導医に必要な能力について明らかにする。  方法 2022と2023年に合目的に対象者13名(平均年齢51歳;男性;研修医2名、指導医11名:小児科 4名、内科3名など)を選定し半構造化個別インタビューにて、一般外来診療研修の方法、課題点、指導能力な どを調べた。各々約60分を要したインタビューを録音し、データを活字化して内容分析を行った。  結果 指導方法:指導医の見学や実際の診療。課題点:研修医の診察が観察できない、研修医の意欲。指導能 力:教育的態度と教育技法(成人教育理論や指導技法にて意欲を引き出し、指導内容を絞り込む)、臨床能力 (医学的根拠と経験からなる能力)、人間性(対人関係構築力、職業意識と医療観の認識)。  結語 外来診療研修の目標達成と課題克服のために、指導医は、教育、臨床、態度の視点から自らの能力をと らえ指導にあたっていた。

【8-2】琉球政府発行の母子手帳
*今西 康次1
1. じねんこどもクリニック

 戦後沖縄県は米軍統治下にあったが、1961年に琉球政府は日本国内で利用されているのとほぼ同じ母子 手帳を導入している。1972年に日本に返還されるまでの間、琉球政府発行の母子手帳は5種類あり、今回 SNSで呼びかけたところ全種類の母子手帳を集めることができたので紹介する。母子手帳の最初のページは日 本の児童憲章で始まっている。

【8-3】当院における過去5年間の食物経口負荷試験の解析
*春日 亜紀1、浄法寺 彩子1、武田 捺南絵1、尾崎 瑞希1、中島 京美1、松本 一郎1
1. 医療法人松本小児科医院

 【はじめに】当院の外来における過去5年間の食物経口負荷試験の解析を報告する。 【対象・方法】対象は 2018年1月から2022年3月で実施した1061例(522人)。 【結果】①最多年齢は1歳、次いで0歳だった。② 負荷食品は鶏卵64.1%、乳19.9%、小麦11.0%の順に多く、全体の約9割を占めた。③負荷陽性率は 14.2%、その内11.9%が帰宅後に陽性となった。また、アドレナリン使用率は全体の0.5%であった。④負荷 陽性者の誘発症状の割合は、皮膚症状(74.8%)が最も多く、他の症状では鶏卵で消化器症状、乳で咽頭症 状、小麦で呼吸器症状がそれぞれ多い傾向にあった。 【考察】当院での負荷陽性率は他院の報告と比べて概ね 低く、安全に実施できたと考える。食品別では誘発症状の出現傾向が異なることから、各食品で症状を注意深 く観察することで早期発見・対応につながるのではないかと考えた。また帰宅後に陽性となった要因の一つ に、最終摂取後の観察時間が短かったことが考えられ、今後検討していく必要がある。 【おわりに】今回の解 析で、当院における食物経口負荷試験の傾向の把握や方法を見直す機会となった。

【8-4】外国にルーツを持つ子どもの診療所受診に関する実態調査
*藤田 優一1、工藤 大祐1、福井 美苗1、小笠原 史士1、脇本 景子1、加藤 丈太郎1、藤井 達矢1、大坪 明1
1. 武庫川女子大学

 目的:外国にルーツを持つ子どもの小児科の受診状況や対応方法について明らかにする。  方法:関西の小児科を標榜する診療所970施設に勤務する医師、看護師、事務職員にweb上で回答するアン ケート調査を実施した。  結果:医師54名、看護師8名、事務職9名の計72名より回答があった。外国にルーツを持つ子どもの1か月間 の延べ受診件数は、「1~9件」が39名(54.2%)、ついで「10~19件」12名(16.7%)であった。健康保 険制度や医療システムで困ったことは「全くない」が35名(48.6%)で最も多かった。文化や宗教、習慣の違 いで困ったことは「全くない」が29名(40.3%)で最も多かった。言語について困ったことは、「ない」が 20名(27.8%)、ついで「ある」が17名(23.6%)であった。外国語への対応方法は、「やさしい日本 語」53名(73.6%)、「ジェスチャー」47名(65.3%)、「日本語が話せる知人が同伴」46名(63.9%)で あった。  考察・結論:言語で困っている状況はみられたが、医療制度、文化・宗教では困っていることが比較的少な い状況がみられた。

【8-5】予防接種を安全に確実に行う ~ごちゃごちゃを滅茶苦茶にしない工夫~
*佐治 佑奈1、後藤 友理恵1、岡本 まゆ美1、藤本 伸治1
1. 医療法人双優会つつじが丘こどもクリニック

 日本小児科学会は予防接種の意義を「病原体あるいは細菌が出す毒素の、病原性や毒性を弱めたり、なくし たりしたもので、あらかじめ体の中に免疫の記憶を残し、病気にかからずに済むようにするもの」と位置付け ている。わが国でも多種類のワクチンを出生早期から接種するよう計画されている。  しかし、接種する年齢、種類、接種間隔、変更される接種要綱など国の指針を遵守することと、「同時接種 がかわいそうなのですべて単独接種したい」「2本ずつ接種したい」といった保護者の希望も叶えなくてはな らず、接種計画はパズルのようになっている。  パズルのようなごちゃごちゃしたワクチン計画を、滅茶苦茶にしないための工夫として、  ・適切な接種スケジュールの提案と管理  ・安全に実施するための役割  など、当院独自のルールを作って実施している。   今回は、大切なワクチン接種を、安全・確実に、そして滅茶苦茶にせず実施する工夫について紹介する。

【8-6】坐剤の分割使用時の投与量と作成した指導文書の有効性の検証
*池田 貴司1、米谷 亜矢子1、守谷 縁1、大喜多 美智代1、浦上 勇也2、山本 和幸3
1. サンシャインスター薬局、2. スター薬局 大野原店、3. 株式会社スター薬局

 【目的】小児科領域において、坐剤は広く使用される剤形であるが、規格が限られているため分割して使用 する事が多い。しかし、分割された坐剤の重量が本来の指示量に一致しているか疑問を抱き調査を行った。ま た、分割の指導をサポートするための指導文書を作成し、その有効性を検証した。  【方法】当薬局で実施しているこどもおくすり教室に参加した保護者を対象に、通常行っている方法で坐剤 を分割してもらい、指示量と分割された坐剤の重量に差が無いか検証した。その後、作成した指導文書を使用 して再度坐剤の分割を行い、指示量と分割された坐剤の重量の差を検証した。また、同時にアンケート調査を 実施した。  【結果・考察】通常方法での分割では、ほとんどの例において指示量を大きく上回っていたが、指導文書を 使用する事で指示された投与量により近い値となった。また、アンケート調査の結果からは、坐剤を分割する 事に不安を抱く保護者が多かったが、指導文書の使用により不安が解消される事が確認された。

【8-7】地域のネウボラを目指す取り組み 〜切れ目ない子育て支援に向けて〜
*則本 真理1、苅谷 誠子1、外山 絵美1
1. 社会医療法人 同仁会 みみはら高砂クリニック

 当クリニックは、年間約700件ほどの分娩を担当する耳原総合病院の門前診療所である。地域特性などか ら、さまざまな育児への困難を抱える患者が多く、育児支援のニーズは高いと感じている。コロナ禍以前から 私たちは、地域版ネウボラの役割を果たすべく、切れ目のない育児支援を目指して、行政や総合病院の MSW、産婦人科と頻繁に連携を行いながら乳児健診や育児相談、またワクチン接種時の個別相談、TEL相談な どのフォローを行ってきた。
  コロナ禍では育児相談の個別化、感染対策にも配慮した形式への変更を余儀なくされたが、5類感染症に 移行しそれもまた再考するべき時を迎えている。これまでと同様に、時勢の変化に呼応しつつ奮闘する当クリ ニックの現状を報告すると共に、子育てにおいて様々なリスクや問題の早期発見・早期支援をする事はもちろ ん、ネウボラの役割を考慮し地域の子ども達と親の健康の維持・増進をこころがけていきたいため、現在の問 題や今後の課題、展望などを明らかにしたいと考えている。