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抄録のご紹介ページ(ランチョンセミナー)

9月9日(土)

ランチョンセミナー1

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G401+G402(4 階)
    共催 : MSD 株式会社
  • 司会 : 山本 淳(星川小児クリニック)
HPV ワクチンの接種率向上に向けて私たちが取り組むべきこと
  • 石和田 稔彦(千葉大学真菌医学研究センター 感染症制御分野)
 2022 年 4 月から、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的接種勧奨が再開され、今年 4 月からは、9 価 HPV ワクチンが定期接種およびキャッチアップ接種ワクチンとして活用できるようになりました。また、15 歳未満に対しては、9 価ワクチンの 2 回接種の用法が追加となりました。子宮頸がん等の積極的予防のためには、HPV ワクチン接種率の向上は喫緊の課題です。接種率向上のためには、メディカルスタッフを含む医療従事者が、HPV ワクチンに関する最新の情報を知り、ワクチン対象者や保護者の方に正確な情報提供を行っていく必要があります。本セミナーでは HPV ワクチンのこれまでとこれからについて、わかりやすく解説すると共に、これまで私たちが取り組んできた中学生・高校生に対するワクチンに対するリスク教育について、千葉県における HPV ワクチンの接種後有症状者に係る地域の医療機関との連携についても触れたい。

ランチョンセミナー2

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G303(3 階)
  • 共催 : 武田薬品工業株式会社
  • 司会 : 菅谷 明則(すがやこどもクリニック)
おたふくかぜワクチンはなぜ任意接種のままなのか?:コロナの経験から予防接種を考える
  • 田中 敏博(静岡厚生病院 小児科)
 “定期接種”には、接種されるワクチンの有効性と安全性が公に認められ、重要であるという印象も与える響きがあるのではなかろうか。セットになる公的な費用助成は、接種への障壁をさらに低くする。こども達を VPD から守るために、任意接種のままで最後の課題となっているのがおたふくかぜワクチンである。健闘しているとは言え、任意である限りは接種率が上がり切らず、したがって先進諸国の中で唯一、いまだ流行が観察される。かつて、わが国でもおたふくかぜワクチンが“定期接種”だったことがある。新三種混合ワクチンとも言われた麻しん風しんおたふくかぜ混合ワクチン、通称 MMR ワクチンとして、1989 年から 1993 年、足掛け 5 年の出来事である。おたふくかぜワクチンの定期接種はなぜ途絶え、30 年間も任意接種のままなのか。新型コロナウイルスの上陸に震え上がってワクチンを渇望した経験を踏まえ、予防接種、そしておたふくかぜワクチンについて考えてみたい。

ランチョンセミナー3

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G301+G302(3 階)
    共催 : 田辺三菱製薬株式会社
  • 司会 : 佐藤 和人(上大岡こどもクリニック)
予防接種の間違い防止のためにクリニックで出来ること
  • 崎山 弘(崎山小児科)
 予防接種は子どもの健康を守るための重要な医療行為ですが、一般的な保険診療の医療とは異なり基本的に健康な子どもたちが対象です。ワクチンを受けて不健康になることは好ましくありません。そのために、十分な効果を得ながら、ワクチンによる不都合をなるべく減らすために、治験の結果や過去の経験などに基づいて、予防接種には様々な規則が定められています。規則から外れた接種が必ずしも健康被害に至るわけではありませんが、規則違反、つまり予防接種の間違いを防ぐ努力は必要です。
 この講演では過去の国内の事例より、頻度の多い間違い、健康被害を招きやすい間違いについて再確認するとともに、接種数や職員の配置状況が異なるそれぞれの医療機関で、どのように考えれば、そして、どのような作業をすれば、予防接種の間違い防止につながるかをお話します。ただし、聞くだけでは間違いは減りません。今日から手順を変えることの大切さもお伝えします。

ランチョンセミナー4

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G304(3 階)
    共催 : デンカ株式会社
  • 司会 : 藤森 誠(藤森小児科)
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ
  • 時田 章史(クリニックばんびぃに)
 新型コロナウイルスが国内で 2020 年 1 月に初めて感染が確認されて以来、年に約3回の流行がおき、2023 年6月末時点において第9波の流行が予想され、特にワクチン接種率が低迷している小児を中心とする流行になることが懸念されています。一方2019/20 シーズンのインフルエンザによる累積の推計受診者数は約 728.5 万人でしたが、2020/21、2021/22 シーズンは顕著に減少しました。2022/23 シーズンは 3 年ぶりの大流行が予想されましたが、予想に反し中規模の流行となり、その後梅雨に入っても小流行が散発し、季節外れの学級閉鎖が全国で発生しています。この2つの感染症は、脳症・脳炎など小児にとって致死的な病態を引き起こすため、今後も引き続き注視すべき感染症です。本講演では、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの病態、検査・診断、治療および予防について自験例を紹介しながら解説したいと思います。

ランチョンセミナー5

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G403(4 階)
    共催 : 日本ビーシージー製造株式会社
  • 司会 : 横田 俊一郎(横田小児科医院)
忘れていませんか?結核のこと~日本の結核罹患状況から総合的に小児結核を考える~
  • 德永 修(国立病院機構南京都病院 小児科)
 わが国の全年齢結核罹患率は 2021 年にやっと人口 10 万対 10 を下回り、「低まん延国」の仲間入りを果たすことができました。また、小児(0 ~ 14 才)に限った罹患状況は「超低まん延」と評価できるレベルまで低下しており、世界で最も小児結核罹患率が低い国となっています(年間新登録小児結核患者数は近年30~50例程度、この年齢層に限った結核罹患率は人口10万対0.2~0.3程度で推移)。小児結核症例が順調に減少することは非常に喜ばしいことですが、診療機会の減少が小児結核に対する関心の低下、
さらに診療レベルの低下へと結びつき、忘れたころに遭遇した小児結核症例に適切に対応することができず、診断、治療の遅れにつながる可能性も懸念されます。本セミナーではわが国の結核罹患状況を概観した上で、小児結核を「知る」ことの重要性を考えてみたいと思います。

ランチョンセミナー6

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 メインホール G3+G4(1 階)
    共催 : ノーベルファーマ株式会社
  • 司会 : 田中 秀朋(あかちゃんとこどものクリニック)
これからはじめる How to 発達診療 ~健診から外来まで~
  • 是松 聖悟(埼玉医科大学総合医療センター 小児科)
 こどもの情緒課題が着目されるようになってから久しいですが、神経発達症やその境界域にあるこどもへの支援は、依然として各地における大きな課題のままです。乳幼児健診での気付き、助言、医療機関につながった場合の支援、つながらない場合の支援は、多職種がチームとなって取り組む必要があります。演者の大分県での「おおいた地域医療支援システム構築事業」、「発達障がい児等心のネットワーク推進事業」における 5 歳児健診を中心とした活動、大分県中津市で学んだ子育て支援、埼玉県で立ち上げた「小江戸・こども支援推進協議会」での活動を介して、これから神経発達症支援をはじめようかと考えているビギナーの先生方へ、著者なりのコツをご提案できればうれしいです。

ランチョンセミナー7

  • 9 月 9 日(土)12:00 ~ 13:00 G404(4 階)
    共催 : モデルナ・ジャパン株式会社
  • 司会 : 藤岡 雅司(ふじおか小児科)
国内におけるvaccine hesitancy(忌避,躊躇)の特徴
  • 勝田 友博(聖マリアンナ医科大学小児科学教室)
 ワクチン忌避 (vaccine hesitancy) は,その程度に個人差はあるものの,あらゆる人に潜在している.かく言う私自身も毎年のインフルエンザウイルスワクチンや,既に 6 回接種済みとなった COVID-19 ワクチン接種の直前は,接種時やその後の痛みを想像し,少しだけ鬱々とした気分になる.このような感情も広義では vaccine hesitancy と言える.一方で,私自身は,それぞれのワクチンを接種することのメリットが,痛みというデメリットを大きく上回ると認識しているため,接種を中止しようと考えたことは一度もない.我が国は他国と比較し,元々ワクチンに対する有効性,重要性,安全性に対する信頼が低い国として知られており,vaccine hesitancy が発生しやすい国と言える.本セミナーにおいては,国内における vaccine hesitancy の特徴をご紹介させていただくとともに,ご参加のみなさんと今後の国内外来診療における vaccine hesitancy 対策に関してディスカッションさせていただきます.



9月10日(日)

ランチョンセミナー8

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G401+G402(4 階)
    共催 : MSD 株式会社
  • 司会 : 藤岡 雅司(ふじおか小児科)
小児肺炎球菌感染症の課題 - これからのワクチンの役割
  • 黒木 春郎(医療法人社団嗣業の会 こどもとおとなのクリニック パウルーム)
 かつて、肺炎球菌感染症は、小児において主要な侵襲性感染症であった。小児科医にとって、これらを初診でいかに見逃さないか、また治療をどのように行うかが大きな課題であった。現在は、そのような患者を診る頻度は、極めて少なくなり、ある世代より若い世代の医師は、診療をされた経験がほとんどないのではないだろうか。
 一方、肺炎球菌はその血清疫学の変化、抗菌薬感受性の変遷などの課題は多い。また、非侵襲性として、局所粘膜への感染(中耳炎、気管支炎)の起炎菌としても主要なものである。肺炎球菌ワクチンの普及により、侵襲性肺炎球菌感染症はまれなものとなったが、非ワクチン株による感染については、ワクチン普及後の問題となっている。本講演では、侵襲性肺炎球菌感染症の実例を提示し、もはや経験することが少ない事例として、あらためて意識を喚起してみたい。
 また、ワクチン普及後の血清疫学の変化、抗菌薬感受性の変遷を踏まえて、今後の課題を提案する。

ランチョンセミナー9

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G303(3 階)
    共催 : 極東製薬工業株式会社
  • 司会 : 吉原 重美(獨協医科大学)
「百日咳対策を考える」
  • 岡田 賢司(福岡看護大学大学院/福岡歯科大学医科歯科総合病院予防接種センター)
 本セミナーでは、(1)百日咳の疫学の変化(2)検査診断法(3)ワクチン対策を紹介いたします。
 まず百日咳の疫学の変化です。百日咳は、2018 年から 5 類感染症全数把握疾患に改定され,診断した医師すべてに報告が求められています。2020 年後半から、COVID-19 の影響もあり報告数が激減していますが、百日咳含有ワクチン接種回数別の患者年齢が初めて明らかとなりました。
 百日咳の診断です。「鼻咽頭拭い液中の百日咳菌抗原の検出」を目的とした抗原定性検査キットは、多くの感染症で利用されているイムノクロマト法による抗原検出が 2021 年 6 月から利用できるようになっています。本キットによる早期の診断により、「重症化の予防」「抗菌薬の適正使用」「感染拡大の防止」が期待されます。
 最後に今後の百日せき含有ワクチンによる対策を考えます。2023 年 4 月から、接種開始が生後 2 か月からとなりました。生後 2 か月からの接種の意義を皆様と考えたいと思っています。

ランチョンセミナー10

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G304(3 階)
    共催 : Meiji Seika ファルマ株式会社 /KM バイオロジクス株式会社
  • 司会 : 田中 敏博(静岡厚生病院)
わが国の小児に対するワクチンの筋肉内注射
  • 中野 貴司(川崎医科大学 小児科学)
 わが国では、1970 年代に小児の大腿への筋肉内注射(筋注)反復により大腿四頭筋拘縮症の患者多発があり、日本小児科学会は小児の筋注を極力避けるよう提言してきた。ただし、原因はワクチンでなく、注射量の多い抗菌薬や解熱薬と考えられている。
 このような歴史背景の中、わが国の小児用ワクチンで筋注製剤は少数である。一方海外では、生ワクチンは皮下注射(皮下注)、不活化ワクチンは筋注が標準的に推奨される接種経路とされている。アジュバント含有ワクチンの皮下注は局所反応が目立つことや、一部の不活化ワクチンは筋注の方が皮下注よりも免疫原性が良好という研究報告がある。
 筋注に伴う合併症は一般に稀だが、筋拘縮・神経損傷・血腫・細菌の二次感染などがある。ワクチン・ギャップが解消されつつある昨今、標準化に向けた流れの中で必要となる知識や技術に関する啓発、医療者や保護者の受容に向けた課題と展望について考察する。

ランチョンセミナー11

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 メインホール G3 + G4(1 階)
    共催 : 株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
  • 司会 : 西巻 滋(0 歳からの頭のかたちクリニック / 横浜市立大学)
向き癖から位置的頭蓋変形症へ
  • 草川 功(0 歳からの頭のかたちクリニック / 聖路加国際病院小児科)
 日本の小児科学の教科書の中には、新生児 ・ 小児科領域の頭蓋変形に関しては、頭蓋骨早期癒合症や頭蓋顔面奇形の記述はあるものの、位置性頭蓋変形症についての記述はない。一方、小児科医の世界的 gold standard である Nelson textbook of Pediatrics には、この位置性頭蓋変形症に関して明確に疾患として記載されている。そして、数多くの論文も公開されているが、残念ながら、我が国の小児科領域では、単なる向き癖としての概念から抜けだせず、論文発表はおろか、学会発表もほとんどない。しかし、近年、位置性頭蓋変形症に対する認識は、大きく変わってきている。今回は、位置性頭蓋変形症の解説に加え、医療関係者のみならず、患者ご家族の頭蓋変形に対する認識の変化について、そして、その対応の変化について述べる。

ランチョンセミナー12

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G403(4 階)
    共催 : ビオメリュー・ジャパン株式会社
  • 司会 : 牟田 広美(いいづかこども診療所)
多項目遺伝子検査が教えてくれた with コロナの時代のライノウイルスの重要性
  • 成相 昭吉(松江赤十字病院 感染症科)
 COVID-19 新興後の 20 年 10 月に、18 の呼吸器ウイルスと百日咳を含む 4 つの非定型細菌を一度に PCR で検出するFilmArray 呼吸器パネル 2.1 を導入、5 類移行直前までの 31 か月間、SARS-CoV-2 以外の気道感染症小児入院の鼻咽腔ぬぐい液から検出される呼吸器ウイルスを調べた。百日咳が重症化する 4 混 2 回未接種の 4 か月齢までの咳嗽を認めた乳児を 1 群、5か月齢以上の下気道炎症例を 2 群とした。1 群 47 例、2 群 97 例のそれぞれ 43 例(91%)、88(91%)から検出、単独検出は1 群が 37 例(86%)で最多は RS ウイルス、診断は細気管支炎であったが、2 群 66 例(75%)ではライノウイルス(RV)が最多、診断は気管支炎、肺炎、喘息急性増悪と多様であった。オミクロン株 SARS-CoV-2 と RV の同時検出乳幼児例は気道症状が重症化すると報告された。ABC3 種がある RV には抗原定性検査はなく、高病原性の C 種はウイルス分離もできない。with コロナの時代に重要性を増す RV の検出は、臨床に役立つものと期待される。


ランチョンセミナー13

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G301+G302(3 階)
    共催 : ファイザー株式会社
  • 司会 : 田中 秀朋(あかちゃんとこどものクリニック)
『コ・メディカルに知ってもらいたいワクチンのはなし』-医学・統計学を超えて-
  • 笠井 正志(兵庫県立こども病院 感染症内科)
 「ワクチンはなぜ好かれないのか? 」、演者が長らくワクチン接種、相談、教育に関わってきての疑問です。ワクチンを打たれる立場と打つ立場の両方から考察しましょう。
 ワクチンを打たれる立場として。ワクチンが好きでたまらないという方に出会ったことありますでしょうか。私は医療スタッフ含めて一人も出会ったことないです。みんな嫌な顔をします。演者も翌日に新型コロナワクチンやインフルエンザワクチン接種を控えている時は、なんとなく気が重く、当事者としてどうしても好きになれません。ワクチンを打つ立場として。誤接種したらどうしょう、当日キャンセル出たらどうしよう、停電になったらどうしよう、とんでもなく泣かれたらどうしょう、副反応出て、クレーム来たらどうしよう。これまたワクチン外来前日にはなんとなく気が重いものです。
 いずれも気分の問題ですが、医学、統計学が最も苦手とするのが、この気分問題です。本ランチョンセミナーでは医学・統計学以外のお話をします。

ランチョンセミナー14

  • 9 月 10 日(日)11:40 ~ 12:40 G404(4 階)
    共催 : 富士フィルムメディカル株式会社
  • 司会 : 横田 俊一郎(横田小児科医院)
クリニックや地域からみたインフルエンザ(迅速抗原検査の性能、薬剤耐性、流行状況等の検討)
  • 市川 正孝(市川こどもクリニック)
 演者は約 20 年前から迅速抗原検査の性能評価を行っており、それに付随して得られたデータなどを利用してインフルエンザ等の臨床研究を行っている。また所属する秦野伊勢原医師会では 2009 年の新型インフルエンザの時より有志によるインフルエンザの発生登録を行っており、クリニックがある伊勢原市では学校感染症発生状況報告が行われている。今回はこれらのクリニックや地域より得られたデータから以下の 4 点についてお話したい。
1,迅速抗原検査の性能などや、この検討に付随して得られた知見。またインフルエンザ迅速キットの適正な使用時期についての検討。
2,2018 ~ 19 シーズンにおけるインフルエンザのバロキサビル薬剤耐性についての検討。
3,医師会での集計から、インフルエンザの年齢別の発生動向や年末年始の動向などについて。
4,学校感染症発生状況報告から、新型インフルエンザや今回の新型コロナ感染症の罹患状況。