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抄録のご紹介ページ(スポンサードセミナー)

スポンサードセミナー 1

  • 9 月 9 日(土)9:10 ~ 10:20 G403(4 階)
    共催 : ホロジックジャパン株式会社
    司会 : 宮田 章子(さいわいこどもクリニック)
ほんとうに重要な小児呼吸器感染症の診断とその意義
  • 笠井 正志(兵庫県立こども病院)
 小児プライマリケア疾患を分類するのに、小児科医は「3C」を用いる。すなわち Common(頻度が多い)、Critical(重症若しくは重症化する可能性が高い)、そして Curable(治療可能)である。そして今新たな C である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が加わった。「3C + C」を小児呼吸器感染症の病原体に当てはめると、Common は感冒を引き起こすウイルスであり、Critical は RS ウイルス、Curable はインフルエンザウイルス、そして新型コロナウイルスとなる。小児呼吸器感染症における病原体診断は検査が全てではない。しかし定点報告など「届出」には検査が求められることが少なくない。また検査なく十把一からげに抗菌薬や抗ウイルス薬を処方することは、子どもに優しい診療ではない。ではほんとうに重要なことは何か。それは検査前確率と検査後のマネジメントである。事前に予測し、結果を正しく解釈し、最適なマネジメントをする臨床能力と、その検査結果を次の患者に生かす内省力である。 

スポンサードセミナー2

  • ライフステージ別に小児感染症を考える
  • 9 月 9 日(土)10:30 ~ 11:40 G301+G302(3 階)
    共催 : サノフィ株式会社
    司会 : 橋本 浩一(福島県立医科大学)、中野 貴司(川崎医科大学)日付司会
乳幼児感染症の変遷と新たな展開
  • 橋本 浩一(福島県立医科大学医学部小児科学講座)
 2011 年1月に日本小児科学会から「予防接種の同時接種に対する考え方」が示されました。その後、多くのワクチンが次々と定期接種へ導入され、ここ約 10 年で乳幼児期における感染症発症の状況が大きく変わりました。また COVID19 パンデミックは小児のワクチン接種率、そして一般感染症の罹患状況に影響を与えました。さらに RS ウイルス感染症の予防は新たなステージを迎えようとしています。乳幼児期における一般小児における感染症の変遷、そして課題について一緒に考えたいと思います。

小児期、就学期以降の小児感染症
  • 中野 貴司(川崎医科大学 小児科学)
 COVID-19 の流行の影響もあり、国内での MR ワクチンの接種率が下がっており、海外からの渡航者数の回復に合わせて麻疹の流行が懸念されています。
 また近年、英・米国など先進国の大都市で環境水からポリオウイルスが検出されています。WHO はすべての国が VDPV またはWPV1 のアウトブレイクに迅速に対応できるように、対応計画を策定することを推奨しました。国内においても持ち込みリスクに備えた対応が必要です。
 今後、日々の診療でどう対応していくすべきか、皆さまと一緒に考えたいと思います。

スポンサードセミナー3

  • ビタミンD 最新の知見
  • 9 月 10 日(日)8:50 ~ 10:00 G403(4 階)
    共催 : 森下仁丹株式会社
    司会 : 時田 章史(クリニックばんびぃに)
子どもの健康とビタミンD
  • 冨本 和彦(とみもと小児科クリニック)
 母乳には栄養素と非栄養素(ホルモンや免疫、腸内細菌叢の移行・醸成)の側面があり、栄養素だけの議論はしてはならない。しかし、母乳育児支援においては母乳の栄養学的弱点である鉄とビタミン D(VD)について熟知しておく必要がある。
 本邦妊婦の 60%はVD欠乏にあり、母乳中VD濃度も低い。VDは日光によって生成されるため、母乳栄養児では日光照射が少なければVD不足に陥る。実際に北日本の母乳栄養児では 61.9%が欠乏状態にあり、東京、京都においても不足は著しい。
 VDはホルモンとして全身組織に作用するため、欠乏すれば骨外病変も来たす。乳児期にはVD不足に対するPTHの反応が弱く、骨病変は「生理的O脚」など潜在的になることが多いが、骨外病変として感染症、自閉症スペクトラム、肥満、喘息との関わりが示唆されている。小児期には過度な日光防護を避け、新生児期から天然型VD400IU/日の補充投与を行うのが望ましい

女性の健康とビタミンD
  • 太田 邦明(東京労災病院)
 ビタミンD(VD) はおもに古典的機能として骨形成は知られているが、 非古典的機能として細胞増殖・分化・アポトーシスの調節,免疫機能の強化など様々な作用が報告されている。最近、日本人女性は VD 摂取量が多いほど死亡リスクが低いという報告があった(Nanri Aet al, Eur J Epidemiol. 2023)。また VD は日光を浴びることで生成されるため 、特に女性は UV カット効果のあるファンデーションなどを使う機会が多く、VD不足が国際的に深刻な問題となっている。それゆえに、VD不足のために女性特有の疾病である月経異常、不妊症,産科合併症などの若年期生殖異常を、更年期障害や骨粗鬆症などの中高年期代謝異常を引き起こす。 さらに妊娠中の VD 不足が次世代の児の統合失調症の発症リスクを上げることが報告されている。 つまり、女性のライフワークにおいて VD の役割は非常に重要であることが理解できる。本講演では , 日本人女性の VD 不足の状況と健康との関連性を概説し、VD 摂取の重要性を討議・提案する予定である。

スポンサードセミナー4

  • クリニックでできる乳幼児湿疹ケア
  • 9 月 10 日(日)10:10 ~ 11:20 G404(4 階)
    共催 : 大塚製薬株式会社 メディカル・アフェアーズ部
    司会 : 川田 康介(かわだ小児科アレルギークリニック)
STOP!食物アレルギー
 ~小児科クリニックで始める乳児湿疹早期介入のコツ~
  • 西 凜(祐天寺ファミリークリニック)
 乳児湿疹への早期介入が、アレルギーマーチ予防の上で重要と言われて久しい。特に地域のクリニックでは、生後 2 か月からのワクチン接種開始に始まり、毎月赤ちゃんに接していくなかで、湿疹への早期発見、早期介入という絶好の機会を与えられている。今回は、当院で行っている日常診療時のポイントと、月 1 回行っている乳児アレルギー教室のご紹介をする。また、その結果、食物アレルギー発症がどの程度まで抑えられたかの院内データを併せてご紹介したい。

アレルギー発症予防を意識した乳幼児期のケア ~小児科クリニックだからこそ出来ること~
  • 世間瀬 基樹(東京シティクリニック三田)
 G. Lack の提唱した二重アレルゲン曝露仮説に基づくと、乳児期早期から湿疹をきちんとケアすること、また離乳食は遅らせることなく様々なものを食べ進めていくことは、アレルギー予防・管理のうえで重要である。乳児期早期から継続的に関わる機会をもつ小児科クリニックの医師が「湿疹治療」と「離乳食の進め方」についてイニシアチブを取ることは有益である。 当院では湿疹治療の重要性について早い時期から啓蒙し早期受診につなげ、湿疹で受診した際には、スキンケア指導や外用剤の塗り方指導を PAE と分担し行っている。また離乳食の進め方については、PETIT study などの臨床研究の結果を情報として伝え、遅らせることなく様々なものを食べ進めていけるよう啓蒙している。鶏卵については、不十分な加熱調理の卵で症状を起こすケースが多いため、加熱による抗原性の低下について具体例を示し伝えている。当院は開院後 7 年が経過し、乳児期早期から当院かかりつけであるこども達の食物アレルギーの状況についても報告したい。

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  • クリニックで始める子供の痛みケア~少しの意識改革がもたらす子どもの明るい未来~
  • 9 月 10 日(日)13:00 ~ 14:10 G303(3 階)
    共催 : 佐藤製薬株式会社
    司会 : 真部 淳(北海道大学大学院医学研究室 小児科学教室)
-子どもの痛み体験はその時だけでは終わらない-
  • 加藤 実(春日部市立医療センター ペインクリニック内科)
 注射の痛みは一瞬、弱い、仕方ないと医療者や保護者には認知されている。しかし注射を受ける子どもは強い不安や恐怖を抱いていることが報告されている。そもそも痛みは不快な感覚かつ情動体験と定義され、感覚成分、情動成分、認知成分から構成されている。その結果、痛み体験は、感覚系では中枢性感作が、認知では強い恐怖感体験の記憶を介して医療行為の回避に繋がることが指摘されてきた。 カナダではワクチン接種時の痛みを減らす取り組みが行われ、エビデンスのある 5P approach (procedural,
physical, pharmacological, process, psychological) が日常診療に導入された。子どもの人権を守る観点から 2015 年 WHOからもこれらを基本としたワクチン接種時の痛みの軽減法が提唱された。本邦でもエビデンスに基づいた知識が広まり、日常診療での実践に繋げる必要がある。

「子どもの”痛い !!”注射を減らすためにできることを考えよう」
  • 福地 麻貴子(地方独立行政法人 埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター)
 痛みを伴う医療処置(採血や末梢静脈確保等)(以下 , 注射)の体験は、一時的なものではなく、子どもに苦痛や恐怖の記憶として残り、成長後にも影響を及ぼすといわれています。私たち医療者は、「" 今 " 注射を受ける子どもへのケア」について、子どもにとって”今”だけでなく、”未来”にも繋がるケアであることを意識する必要があります。
 ある子ども(幼児後期)の注射の体験を保護者にお聞きしました。 「前の病院では、母親から引き離され、奥の部屋に連れていかれて。泣いて、暴れて、何度も刺されたみたいです。」
 このような体験を持つお子さんへの支援として何ができるでしょうか ?
 痛みそのものを和らげる薬物療法 ( 外用局所麻酔剤エムラ ® パッチ等 ) と、不安や恐怖を和らげる非薬物療法(プレパレーション)を併用し、少しでも子どもが感じる身体と心の痛みが緩和されるよう、日々努力をしています。