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企画のPR/【特別シンポジウム】次世代へのバトン

ぜひ多くの参加者にこのシンポジウムにお集まりいただき、本年次集会のメインテーマそのもの「次世代へのバトン」を直接的に感じとっていただけるようにできたらと思い、企画を横田俊一郎先生、崎山弘先生にお願いしました。とても、共感してくださり、素晴らしい「バトン」が集まったように思います。

どうしてもこの特別シンポジウムをお願いしたかった理由(わけ)

  • 会頭:山本淳
私がクリニックでの診療をはじめたのは、1990年、ちょうどその頃、外来小児科学会(研究会)も産声をあげたころです。
その頃はインターネットもなく、新しい知識を得る機会も限られていました。
多くの先輩がた、あるいは専門性の違う同期の方々の話を聞く機会として、また話す機会として、とても新鮮で、学会から帰ってくるときはお土産をたくさん手にしていたものです。でも、ただそれを真似すればいいというものでもありません。
自分で考え、咀嚼して、新しいものを作り出すことも、この学会の素晴らしいところだと思います。
また、その頃の小児医療の常識(当たり前とされていたこと)と今の常識は、ずいぶん違います。小児ぜんぞくの分野での180度の転換は、西川清先生が特別講演でお話ししてくださいますが、外来小児科学会も、そのように動かしてきた、常識をかえてきた、その一助になっているような気がするのです。
この30年あまりをみて本当にそう思います。
どんな方だって、医療以外のことだって、先輩や友人からの何気ないひとことに動かされたってことありますよね。それはその人によって違うのだろうけれど、でも、この学会にはそういう言葉、そういう機会がとても多くあったと思います。
ただ、私たちもそろそろ高齢になってきて、これからの小児医療を次世代に託す時期になってきました。
もし、私たちの話、私たちを刺激し続けてくれた先輩の話に耳を傾けてくれたら、と、思い、この年次集会に、そういう機会を作ろうと心に決めていました。

<追伸>
それから、私が「次世代へのバトン」という言葉をメインテーマにしたいと思っていた頃、さだまさしさんのコンサートに行きました。さだまさしさんも音楽の分野だけではなく、もう少し広い意味でおっしゃっていたと思いますが、まさに「次世代へのバトン」という言葉をステージで何回もおっしゃっていたのが、耳に残っています。(先に言われてしまった?(笑))そのさだまさしさんも、特別セッション特別ゲストとして、いらしていただけることになりました。「次世代へのバトン」という言葉は、私たちからの共通の思いなのだと思います。

次世代へのバトンの抄録集(お話ししていただける方々)

  • 9 月 10 日(日)8:50 ~ 11:20 メインホール G3 + G4(1 階)
  • 司会 : 横田 俊一郎(横田小児科医院)、崎山 弘(崎山小児科)
  • 本学会のメインテーマ「次世代へのバトン」そのものがタイトルです。温故知新、流行不易。山本会頭が学会企画案で「これを言わずに死ねるか/遺言特集」と書いた情熱を、このシンポジウムで各演者が力強く語ります。 
五十嵐正紘さんから受けた「研究活動のバトン」を 皆さんに託します
  • 絹巻 宏(絹巻小児科クリニック)
 本学会の研究活動の基礎を作ったのは、故・五十嵐正紘さん(1940-2008)です。五十嵐さんは「小児プライマリケアの学問化」と「研究発表の場の確保」を目指して、日本外来小児科学研究会の設立(1991)に奔走し、設立後は外来小児科学研究の活性化に尽力されました。多くの会員がその指導を受けて研究に取り組み、成果を挙げてきました。本講演では、皆さんの記憶に留めて頂きたいこととして、五十嵐さんがなぜ研究会設立を目指したか、設立後に何を行ったかを紹介し、本学会における研究活動の意義・重要性について私見を交えお話しします。

私がバトンとして渡したいものは何でしょう?
  • 原 朋邦(医療法人社団皆誠会 はらこどもクリニック)
 1991 年、学会設立の推進者であった徳丸實さんを会長にして発足しましたが、204 人が参加しましたが、今回の演者は全てそうです。年次集会だけでなく色々の学びの機会を創り良くも悪くも歴史みたいなものを創ったことになるかと思います。然し、今回の企画で今行っていることを継承して欲しいということが良い事かとなると問題はある様に思います。私共は学びを企画し、知識を得てそれを日常の自分の仕事に活用しました。とても感激的な経験もできました。然し、心残りもあります。子どものヘルスケアの基本的な面に関わりながら、医学教育への貢献度やホスピタルケアラーとの共同の学びや研究の面です。現在は知識や技術の習得も便利になり、意見の交流も便利な方法が登場しました。学会は構成員である学会員の意志でどのようにも活動ができます。子どもに関わる全ての職種との連携の質の向上を祈ることをバトンにしたいと思います。

「小児科クリニック」は、プライマリ・ケアの知識と技能、態度を学び、“やり甲斐や魅力”を感じる場である
  • 武谷 茂(久留米大学医学部小児科学講座)
 次世代へのバトンとして、教育部会のプロダクトの中から「クリニック実習」を挙げたい。
 開業医のクリニックは、外来・総合医療のアートとサイエンスを体験学習できる最良の場である。そこで医学生は、患児がもつプロブレムが良好なコミュニケ―ションのもとで解決されていく過程を生々しく経験し、「医のあり方」を考えながら自己の医師像を描くのである。
 2001年に当学会が企画した『全国医学生のための小児プライマリ・ケア実習』は、小児科指導医 167 名でスタートし、5年間に約600 名の医学生が参加した。実習が好評であったことから、すぐに多くの大学がカリキュラムにクリニック実習を組み込むようになった。さらに実習希望者は初期研修医や看護学生まで拡がり、病児保育界にも浸透しつつある。
 今後の課題は、①クリニック実習(各論)を補完する「少人数講義(総論)」の実践、②看護師などスタッフの、トリア―ジ看護に必要な「ビジュアル小児看護学教育」の確立である。

コメディカル分野・院内報ネットワークと医療保育ネットワーク活動
  • 島田 康(しまだ小児科)
 学会には、年次集会、カンファランス、委員会、検討会 ( 勉強会 ) などとともにネットワークという活動もあリます。このネットワークの中で、コメディカルが主体となっているのが、院内報ネットワークと医療保育ネットワークです。これらのネットワークはともに、一般演題 ( 展示発表 ) や Workshop 開催から始まっています。子どもの医療に関わっているいろいろな立場・職種の方が、話題 ( 問題 )を取り上げ・広く意見を募り・共通の話題として語り合いそして日々の活動に結びつけています。子どもたちのために質の向上や我々が・我々でなければ・我々が行うべき研究 ( 検討 ) を継続して行なってきています。この二つのネットワークが、なぜ発足し・どのようにして活動を始め・どんなことを行なっているかをお話ししたい。そして、客席に座っている皆様も、ステージに上り、既存の活動への参加、新しく活動を始める、など自分達でもパフォーマンス出来るという伝統のバトンを引き継いでほしい。

次世代へのバトン~メディカルスタッフの連携~
  • 木下 博子(ほじん薬局(元大分こども病院薬剤室))
 本学会との出会いは第 2 回年次集会で、それから 30 年余り、活動の原点は、「患者さんのための小児医療は、医師だけが担うのではなく、コメディカルも一緒に」という故徳丸実先生のお話である。
 年次集会では、他院の方々と「〇〇はどうやっている? 」とアイデアの交換をした。そこで、「もっと多くの仲間と意見、アイデア交換の場を」と考え、コメディカルミーティングを企画した。その後、職種別のミーティングを経てワークショップへと展開した。しかし、中心になられていた方の退職に伴い、WS が開催できなくなった職種もある。コメディカルのほとんどは被雇用者であり、それが学会活動の壁になっているところもある。
 シンポジウムでは、本学会のコメディカルの皆さんに、ぜひ、引き継いでいただきたいこと、また、薬剤師の皆さんには、病院・調剤薬局薬剤師の立場から感じていることをお伝えし、次世代の方への「バトンタッチ」としたい。